「それが仕様だ」

日経ビジネス(1/24号)にPSPの記事が載ってました。
ゲーム中にディスクが飛び出すとか、ボタンの位置がおかしいとか、発売当初から様々な不具合が指摘されている同商品ですが、この中のボタン位置の問題について、SCE久多良木社長のコメントが掲載されておりますので引用します。


「使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。それが仕様。これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。明確な意思を持っているわけで、間違ったわけではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと」


記事には、PSPの外観と、カバーをはずした内部の写真が載っていますが、これを見ると、素人目でもはっきりとわかるぐらいに□印のボタンの位置がずれています。すなわち、□ボタンを押しても、正常に画面が動かないケースが頻発するだろうということは、写真をみても明らかです。


ここまで位置がずれていると、これは製造過程の問題ではなく、設計段階で既に決められていたということであり、この点において、久多良木社長の「仕様だ」という発言は正しいのでしょう。問題は、なぜこのような仕様のまま量産化に踏み切ったのかということです。


久多良木社長によると、デザイン面を重視した結果であるとのことですが、説得性に欠けると言わざるをえません。おそらく、なんらかの構造上の問題があり、それを調整するためにボタンの部分が犠牲になったと考えるのが妥当でしょう。背景には、ソニーの全社業績が芳しくなく、PSPをクリスマス商戦に間に合わせることが絶対的に必要だったという、時間的な制約があったと考えます。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050120AT3L2005020012005.html


久多良木社長のコメントの正否はともかく、いずれにしろ、完成度が低い製品を市場に出してしまったという点で、ソニーはメーカーとしての姿勢に欠けると言わざるをえません。変わらなきゃ。


付言ですが、久多良木社長のコメントの中で、著名建築家以下のくだりは、明らかに詭弁であり、経営者としてはちょっとみっともないなあと感じた次第であります。